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「インドラァァッ!」
声に導かれた目映いばかりの金色の姿の魂神がゆらりと姿を現して無差別に雷を落とし。
「わあぁぁぁぁぁっ!」
ちょっと前に「阿具仁」を呼び出したばかりの人物が頭を抱える。
先に敵からの攻撃を受けかなりのダメージを受けていた彼がもう駄目だと息を止めた。
が、やがて辺りが静かになると、怪訝そうな面持ちで周りを見渡す。
結奈があらかじめ放っていた「皇神の加護」のお陰で、体力値すれすれだった彼はどうにか
命拾いしたと知るとほっと胸を撫で下ろした。
そして自分と同じく無差別攻撃の魂神を持つ崇志に足音荒く近づくと、胸倉を掴み上げた。
「おい、対外にせぇや、ボケッ!結奈はんが気ぃきかせてくれてたから助かったものの、お前
の所為で危うく命落としそうやったやないけっ」
「ふん。元はと云えばお前がまんまと敵さんにやられるからこうなったんだろうが」
「うっ・・・」
そうなのだ。
不覚にも晃は死角になっていた背後から突然襲われ、阿具仁が発動してしまったのである。
当然、すぐ近くにいた崇志の魂神も連鎖で発動。
「う・・・うるさい!お前がワイの側におるからこういう事になるんやないか!もっと離れろ」
「むちゃくちゃ言うなよ。いくらオレっちがエリートでも、戦う時までいちいち自分の立ち位置ま
で気にしてないっつーの」
少し落ちたサングラスを人差し指で直す崇志は至って冷静であるが、その人を小馬鹿にした
ような口調が更に怒りを増幅させる。
「うっさいわい!大体、お前が側にいるとロクな事が起きん。正直もううんざりや」
「コウちゃん、いつからそんなに偉そうな口叩けるようになったんだ?以前は俺の後ろに隠れ
て『ラギ、助けてくれー』なんて言ってた癖に」
「いつの話をしてんねや!ワイはそんな事言ってへん」
「いや、言ってたね。今にも泣きそうな顔で。アノ頃は可愛かったなぁ、コウちゃん」
「気色悪い声でコウちゃん言うなっ」
やいのやいのと口論を続ける二人だったが、実のところ討魔はまだ終わっていない。
「かみかみっ、ちょっと!まだ終わってないよっ」
息を切らせて叫ぶ琴音はその小さな体から「ひのたま」を四方八方に発しながら、一度に二体
を相手する。
「そうですっ!喧嘩は後でも出来るでしょう、今は戦いに集中して下さいっ!」
一分たりとも隙を見せない誠が菊一文字則宗を構え、大声で二人に言った。
彼らの叫びは勿論晃と崇志の耳に入った。が、二人は睨みあったまま視線を反らさない。
(いや、睨んでいるのは晃だけで、崇志はニヤニヤ笑っていたのだが)
一度火のついてしまった晃はもう怒りを抑える事が出来なかった。
それどころか目の前で不適に笑うこの男こそが真の敵だという確信さえ頭を擡げてくる。
「ぐぬぬぬ・・・丁度いい。前からお前とは決着つけたいと思ってたんや。勝負や、ラギ」
「どうせならこんな血生臭いところじゃなくてもっと甘い雰囲気の、そう例えばベッドの中だとか
にお願いできませんかね」
「何抜かしとんじゃ、こら。言っとくけどな、舐めて掛かると痛い目みんのはそっちやで」
「はい、はい。もう一旦コウちゃん火ぃついたら駄目だもんね。仕方ない、お相手しましょうか」
長い槍を低めに構えた晃と、棍棒をクルクルと回してから胸の高さで構えた崇志の両者が距
離を置くべくじりじりと後ずさった。
「・・・鹿跳」
執行部の若きエースがぼそっと呟く。
「・・・うそ・・・」
「しまったっ」
熱風が舞い上がり、それに包まれた彼らが仲良く意識を手放した。
「喧嘩両成敗」
「この場合は仕方ありませんね」
交互にそう言い放つと二人は伸びている晃と崇志を放ったらかし、戦闘へと戻った。
・・・お後が宜しいようで。
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